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 タカラの「変身サイボーグ」は、70年代前半に育った子供達を夢中にさせた大ヒット玩具シリーズでした。

 さすがに70年代半ばになるとその人気は衰えてしまいますが、「サイボーグ」に始まるタカラのSF精神は、『ミクロマン』や『トランスフォーマー』など、現在まで長く続く男児玩具シリーズの中に脈々と受け継がれることになりました。

 そして、そんな「変身サイボーグ」の人気が一段落した頃、後継シリーズとして発売されたのが「アンドロイドA」。
 しかし、やはり柳の下にドジョウは二匹いなかったのか、こちらの方は「サイボーグ」ほどの人気を得ることのないまま、販売が終了してしまいます。

 ところで、日本から遠く離れたヨーロッパで、まったく新しいおもちゃが産声を上げたのは、極東の島国で「サイボーグ」シリーズに静かにピリオドが打たれた、まさにその頃のことでした。

 それは、俗に「MUTON」シリーズと呼ばれる、イギリス版「変身サイボーグ」「キングワルダー(MUTON)」、そして「アンドロイド」の人形達。

 デニス・フィッシャー社から発売されたこのシリーズでは、「アンドロイド」が正義の側ではなく、悪の一員として扱われるなどの設定の違いも見られますが、何と言っても日本版と大きく異なっていたのは、それぞれの人形が「変身サイボーグ(12インチ)」サイズではなく、ふたまわりほど小さな「少年サイボーグ」サイズであったこと。

 写真は、海を越えてはるばる日本までやって来た「イギリス版アンドロイド」が、本家「変身サイボーグ」と並んでいる(または、見下ろされている)ところ。

 東の地・香港で作られた「アンドロイド」が、西の彼方・イギリスでひとりの子供の手に渡り、何十年かを経たのち、生まれ故郷ともいうべき日本に戻ってくる。
 そんな彼の遥かな旅路を考えただけでも、なんとなくロマンを感じないでしょうか。

 どうか我が家が、この「アンドロイド」にとって安住の地となりますように。
 そして彼が、二度と遠い土地に行ってしまいませんように。